2012年1月4日水曜日

デラックスウエア ジーンズ DX066A

DELUXE WARE (デラックスウエア)のジーンズ"DX066A"をアップしました。



ご予約をいただいたり、入荷を心待ちにしていた方も非常に多かったデラックスウエアの新作ジーンズが遂に入荷しました。
もうかなり前から生地を制作している話は聞いていたのですが、途中過程でいろいろとあり、やっとの完成です。
待ったかいがありました。
今回もさすがデラックスウエアというこのメーカーらしい非常に拘りたっぷりの仕上がりになっています。
村松代表にこのモデルについてお伺いしましたので、ご報告させていただきます。
実際の製作現場で見たりやったりしないと理解しがたい部分もあるので、簡単ではありますが興味のある方はお付き合い下さい。

ベースにしているのは1940年代後半頃の革パッチの頃のXX。
以前、レプリカジーンズ全盛の頃は各メーカーが"XXモデル"としてリリースしていたヴィンテージレプリカジーンズでは超定番のモデルになります。
そして今回のモデルのテーマは"当時の再現"。

シルエットは腰周りを若干スッキリとさせた以外はももから裾までズドンとしたテーパードの少ないストレートシルエット。
いい意味での野暮ったさのある、懐かしい感じもあるストレートで、股上はヴィンテージに比べるとやや浅くはしていますが、昨今の流れから言うと深めの部類に入ると思います。

デニム生地を織り上げる経糸、緯糸はメンフィスコットンを使用。
メンフィスコットンってよく耳にしますが、いろいろな産地からメンフィスに綿花が集められたものをメンフィスから出荷してメンフィスコットンと呼んでいる物もあるようなのですが、今回のはメンフィスで栽培された純のメンフィスコットンを使用。

そしてそのコットンを日本でオリジナルで紡績して糸を作っています。
40sのXXの経糸をほどいてかなりのレベルで形状を再現した通常のムラ糸ともまた違ったランダムなムラ糸を使用。
緯糸は軽く硫化染料でベージュに染められています。綿花の品種改良等により、現代の仕様で出来た糸は当時のものより白くなりすぎる為、当時の色目に近付くよう、硫化染料による染めを行っています。これは前作の076XX-5sでも行われていた行程です。

経糸のロープ染色も、生地屋、染め屋などと検証した結果、当時の染色機の動力が石炭であった事により、染色中に煙のススや灰などがインディゴ層の中に入って色が多少変化していたであろうという事で、その色目を再現する為にインディゴに硫化染料を混入しています。
この話を聞いた時に、当時と同じくススや灰を入れる事は可能ではなかったのかという質問をしたのですが、やはり村松代表もそれを提案したそうなのですが、それは不可能だったとの事でした。
染色回数は気温等により職人が調整するのですが、だいたい22回前後との事です。
22回が多いのか少ないのかいまいちピンときませんが、是非とも出来上がった生地を見て感じていただきたいと思います。
黒っぽい感じの色目ではなく、やや薄めのくすんだ青という何とも独特な雰囲気の良い仕上がりになっています。

出来上がった糸を旧式の力織機にてゆっくりと織り上げ、そこから縫製の為の糊付けをするのですが、この糊も一般的に使用する合成糊ではなく、トウモロコシのでんぷん糊を使用。
当時と同じ糊を使用するという意味もあるのですが、この後の行程がデラックスウエアならでは。
糊付けした生地をベルトコンベア状のオーブンの様な物に通し、それにより湿気が抜け、でんぷん糊がパリッとなります。
コーディングのような状態になったでんぷん糊により湿気が入りにくくなり、当時のデッドストックのような乾いた雰囲気の生地表情を醸し出します。
これはアメリカと日本の気候の違いによる生地の仕上がりの違いを再現するが為に、行われる行程です。

そして縫製も糸をオリジナルで作るという拘り様。
理想の色が、丁度既成である糸と糸の色の中間であった為に、これもオリジナルで作られています。
また各部の巻き縫いも通常は幅が6.4mmとか7.2mmの物が多いのですが、ヴィンテージをいろいろと見ているとどうも6.9mmの物が多くあるという事で、わざわざミシンをばらして組み直し、2本針の角度を調整して6.9mmにて仕上げています。
当時のミシンの企画では6.9mmという企画はあり得ないので、セッティングの違いなどによるものなのでしょうか。0.3mmとかの差なので、よく分かりませんが。
ちなみに当店で定番で展開しているウエアハウスの800は7.2mm、ジェラードの55デニムは6.4mm、ウエスの400Rは8mmだと思います。
番手と運針も各メーカーによって結構違いがあるので、この辺は非常に興味深い部分でありますし、まだまだかなりの勉強が必要です。

他にもレーヨンの赤タブ、ボタン、リベットなども当然オリジナルで製作された物を使用。
当時のワークウエアなので、資料等もない為、かなりの研究をし、製作された渾身の新作ジーンズになります。

長くなってしまいましたが、各部の画像もありますので、どうぞご覧下さい。













そして当店で31インチを洗い、乾燥機をかけて、縮みの計測をしてみました。
以下が結果になります。

ウエスト 86.5cm→82cm 4.5cm
ワタリ  34.5cm→32cm 2.5cm
裾幅   22.5cm→21cm 1.5cm
前股上  32cm→30cm  2cm
後股上  38.5cm→35cm 3.5cm
レングス 96cm→88cm  8cm

洗い後の画像もご覧下さい。
多少パッカリングも出ています。





とりあえず31、32、33インチのみの入荷ですが、入荷数が少ないので、お考えの方はどうぞお早めに。
私も31インチを洗いをかけ、洗いサンプルとしてお客様に見ていただき、数日経ったら購入しようかなと考えておりましたが、その商品も本日お買上いただきましたので、また30インチが入荷したら考えようかと思っております。
多分30インチくらいがジャストかなと思います。
早く穿いてみたいのですが。

洗いをかけた31インチを同サイズの他のジーンズと比べてみたところ、ももから裾にかけてのシルエットはウエスの400Rとほぼ同じくらいでした。
ジェラードの55デニムはそれらより全体的にやや太いようです。

いろいろと細かく書いてしまいましたが、とにかく格好いいかどうか。穿きたいと思うかどうかです。
未洗いの生機の雰囲気。洗いをかけた生地表情の変化。そして穿き込んだ時の色落ち。
是非とも店頭でご確認いただきたいジーンズです。

DELUXE WARE (デラックスウエア) ジーンズ "DX066A" ¥23,940

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